日帰りで硝子体手術を行っております
眼球内にある透明のゼリー状の組織を硝子体と言います。この硝子体が、なんらかの原因によって炎症や混濁・出血を生じて網膜に光が到達するのを妨げる状態にあるとき、硝子体手術が検討されます。眼内の出血や混濁を硝子体と一緒に除去する手術です。
※硝子体手術は四条畷市の松山眼科クリニックのみで行っております。
硝子体手術を行う疾患
硝子体手術が有効とされる疾患はさまざまです。
- 糖尿病網膜症
- 硝子体出血
- 黄斑円孔
- 黄斑上膜
- 網膜剥離
- 網膜静脈分枝閉塞症
- 網膜中心静脈閉塞症
- 硝子体混濁(ぶどう膜炎)
患者さんの負担を軽減する硝子体手術システム
当院では、患者さんの負担の少ない最新の硝子体手術システムを導入しています。
手術時に用いる器具を挿入する際の傷の大きさをG(ゲージ)と表しますが、これまで主流だった25Gシステムからさらに小さい27Gシステムを導入し、およそ0.4mmと眼に見えないわずかな傷から手術が可能になりました。
手術による侵襲が少ないため、術後の経過・回復も早いのが特徴です。
硝子体手術の費用
1割負担 | 3割負担 | |
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硝子体手術(片眼) | 約35,000~60,000円 | 約100,000~180,000円 |
※治療内容や投薬内容により、費用は多少前後する場合があります。あくまで目安の費用となります。
硝子体手術の流れ
Step.1手術前検査
硝子体手術が決まったら、手術に必要な検査を行います。
- 採血検査:全身状態の確認と感染症の有無を確認します。
- 角膜内皮細胞:黒目の膜の細胞数を測ります。角膜内皮細胞は、角膜の後方にあって角膜を透明に維持するのに重要な組織です。細胞数が減っている場合は、内皮膚細胞を保護する工夫をして手術します。
- 角膜曲率半径:黒目のカーブの具合を確認します。
- 眼軸長:眼の奥行きの長さを測ります。
③④は、眼内レンズの度数を計算するのに必要です。これまでは、超音波を用いて測定していましたが、いまは正確に測定できる光学式測定機器で測定しています。
Step.2手術の説明
血液検査の結果が出る頃に来院いただき、手術についての説明を行います。手術方法や合併症などについてお伝えします。可能であれば、ご家族などどなたかご一緒に説明を聞いていただくことをおすすめしています。このときに手術日も決定します。
Step.3手術前日
手術3日前より抗生剤の点眼を行います。
Step.4手術当日
手術後、ご帰宅の際には片目に眼帯をするため、できれば付き添いの方とご来院ください。手術1時間前に来院いただき、術前の点眼を行います。準備が整ったら、少し休んで気持ちを落ち着かせてから手術室に入室します。痛みはありませんので、ご安心ください。手術所要時間は約20~30分です。術後、眼帯をして待合室に移動します。その後休憩してから、とくに異常がなければご帰宅となります。
Step.5手術翌日
手術翌日朝に診察を行います。眼圧の上昇や感染症の有無を確認します。診察が終了すれば眼帯を外します。眼をぶつけたり、傷つけたりしないように保護用眼鏡の装用をお勧めしています。
硝子体手術後の注意事項
- 食事は消化の良いものを食べてください。
- 飲酒・喫煙は、術後1週間は控えてください。
- 入浴は、術後1週間は禁止です。洗顔・洗髪・シャワー・メイクも同様禁止します。
- 術後1週間は、保護用眼鏡を装用します。
手術直後のうつ伏せ
手術後は、眼内にガスが入った方に対して、網膜にガスを充満させているために、うつ伏せの姿勢が必要な場合があります。食事やトイレ以外は、就寝時もずっと24時間うつ伏せ姿勢が必要です。このとき、顔面が完全に水平になるようにうつ伏せになることがベストです。
手術後の見え方
硝子体手術は、術後すぐに見え方が良くなるわけではありません。黄斑部疾患の場合は、視力回復するのに数カ月かかることがあります。硝子体出血では、その原因によっては視力回復に時間を要します。
硝子体手術の合併症
手術中に起こり得る合併症
①水晶体の混濁
レンズの役割を果たしている水晶体は、手術中に白内障(水晶体の混濁)が進行する場合があります。ほとんどの患者さんが白内障を合併しているケースが多いため、この場合同時に白内障手術を行います。
②網膜裂孔
網膜に弱い部分がある場合、硝子体切除の際中に網膜に穴が開いてしまうことがあります。この場合、レーザーで穴を閉じます。また、網膜剥離が生じた場合は、眼内にガスを入れて網膜を抑えて治療を行います。
③黄斑円孔
膜と黄斑の癒着が強い場合、黄斑上膜の手術において膜を剥がす際に黄斑円孔が生じる恐れがあります。この場合、手術終了時に眼内にガスを入れて円孔を閉じます。
④駆逐性出血
手術中に痛みを我慢すると、血圧が急激に上昇して、脈絡膜内の血管が破れて大出血を起こします。この状態を駆逐性出血と言います。このようになってしまうと、手術の続行が困難になってしまい、失明の危険性があります。手術中の痛みは決して我慢せず、早めに医師に伝えてください。
手術後しばらくしてから起こる合併症
①白内障
同時に白内障手術を行わなかった場合、術後数カ月から数年経ってから白内障(水晶体混濁)の症状が現れます。硝子体手術を受けた人のほとんどに起こるため、同時もしくはいずれの時期に白内障の手術が必要になります。
②眼圧の上昇
手術後は、炎症するため、眼球内の眼圧が一時的に上昇します。上昇が見られた場合は、内服薬や点眼薬を用いて眼圧低下を図ります。
③硝子体出血
手術における傷口や異常血管からの出血によって、術後の早期に視力低下が見られます。硝子体出血の量が多い場合は、出血を除去するための処置を行います。
④網膜剥離の発生
手術後に、網膜剝離が生じることがあります。この場合、失明を防ぐために手術が必要です。
⑤眼内炎の発生
手術後の傷口から細菌が入って、眼内に繁殖することで眼内炎が起こる恐れがあります。最悪の場合は失明の危険性があるため、抗生物質の点眼や感染巣除去手術を実施します。