網膜にピントが合わない屈折異常
網膜にピントが合わず、ピンボケに見える状態を屈折異常と言います。
網膜の後ろでピントが合う遠視、網膜の前でピントが合う近視、遠方も近距離もピントが合わない乱視があります。
近くが見えて遠くは見えにくい近視
網膜の前で焦点を結んでいる状態が近視です。レンズの役割を果たす角膜や水晶体の屈折力が強い、或いは眼球の長さが長いなどが原因です。そのため、近くが見えて、遠方はピントが合わずに見えにくくなります。
近視の矯正・治療法
眼鏡やコンタクトレンズの装用、オルソケラトロジー治療、ICL治療などで近視の矯正や治療を行います。
また、筋肉の緊張が強いとされる仮性近視の場合は、調節麻酔剤を点滴することで視力改善を図ります。長時間近距離のものを見たり、暗い場所での読書や学習を避けるなど、生活スタイルの改善が必要です。
オルソケラトロジー
オルソケラトロジーとは、視力矯正治療で用いられる、特殊なデザインをしたコンタクトレンズです。装用することで、角膜の形状を変化させることができます。寝ている間、レンズを装用して、昼間起きている間は裸眼で生活できるようになります。また、お子さんが装用することで近視の進行を抑えることが分かってきました。
遠くも近くもぼんやり見える遠視
網膜よりも奥に焦点を結んでいる状態です。軽度の遠視の場合、遠くが良く見えることがありますが、遠くも近くもぼんやり見えるのが特徴です。角膜や水晶体の屈折力が弱い、或いは眼球の長さが短いなどが原因となります。
遠視の矯正・治療法
眼鏡やコンタクトレンズの装用、ICL治療などで遠視の矯正・治療を行います。眼鏡を装用したくない人には、遠近両用コンタクトレンズをおすすめしています。
眼鏡やコンタクトレンズ
遠視は、遠くにも近くにもピントが合わないので、どちらもよく見えません。遠方や近距離などどこを見てもピントの調節が必要なため、眼が非常に疲れやすく、頭痛の症状に悩まされることが多いのも実状です。一般的な遠視の矯正方法は眼鏡とコンタクトレンズの装用です。遠視用のコンタクトレンズは、凸レンズが使われています。凸レンズは、レンズ中央が周囲よりも分厚くなっています。凸レンズは、光の屈折を強くして、前方に焦点を移動し、網膜の後方にある焦点を網膜上に移すことが可能になります。遠視が気になる場合は、速やかに眼科を受診しましょう。適切な処方で視力を矯正することが大切です。
ものが二重に見える乱視
特定の方向にピントを合わせることができない、角膜や水晶体の屈折異常を乱視と言います。物が二重・三重に見えたり、遠くも近くも鮮明に見えなかったりします。また、夜間に車のヘッドライトなどが滲んで見えます。さらに、物が歪んで見える・視野の一部がかすんで見えるなどの症状が現れます。
乱視の矯正・治療法
眼鏡やコンタクトレンズの装用、ICL治療などで乱視を矯正・治療することができます。
眼鏡やコンタクトレンズ
乱視を放置すると、無理にピントを調整しようと眼が疲れたり、頭痛・肩こりなどの苦痛症状を引き起こしてしまいます。乱視の矯正には、眼鏡やコンタクトレンズの装用をおすすめしています。乱視の矯正には、乱視の方向(眼の歪み)に合わせて円柱レンズを用います。乱視の方向は、人それぞれ異なるため、乱視の方向とレンズの角度を正しく一致させることが重要となります。
多焦点眼内レンズ
乱視の矯正・治療に用いる多焦点眼内レンズは、患者さんの乱視の軸と眼内レンズの軸を一致させることが重要です。乱視矯正に用いる眼内レンズは、3つ軸を示す点がついています。この3つの点を患者さんの乱視軸に合わせていくことで、より精度の高い見え方が実現します。