結膜の病気
結膜がなんらかの原因によって炎症を起こした状態を結膜炎と言います。結膜炎には、うつる結膜炎とうつらない結膜炎があります。症状や治療方法は、結膜炎を引き起こした原因によって異なります。
結膜炎
結膜が炎症した状態を結膜炎と言います。原因はさまざまで、ウイルスや細菌・クラミジアなどの病原体・アレルゲンによるアレルギー反応などが挙げられます。主な症状としては、結膜の充血や違和感・痛み・目やにの症状が現れます。
うつる結膜炎
感染力が強く、家庭内や学校・職場・病院内の集団感染などを引き起こすとされるのが「うつる結膜炎」です。うつる結膜炎には、流行性角結膜炎(はやり目)・咽頭結膜熱(プール熱)・クラミジア性結膜炎があります。
流行性角結膜炎(はやり目)
症状
- 眼が充血する
- 涙が出る
- サラサラした目やにが出る
- 眩しく感じる
- まぶたが腫れる
- 結膜が浮腫む
- リンパ節の腫れ・圧痛
原因
アデノウイルスによる感染が原因です。感染すると、5日から2週間ほど潜伏期間があります。夏に発症することが多く、とくに1~5歳児に多く見られますが、成人もかかるため幅広い年齢でかかるとされています。
治療法
基本的に3週間ほどで自然治癒します。ほかの細菌による混合感染を防ぐため、抗菌薬を点眼します。また、角膜の濁りがある場合はステロイド薬を点眼していきます。感染力が強いため、学校保健安全法によって医師の許可があるまで学校など登校できません。大人も感染拡大を防ぐために会社も出勤を控えます。
咽頭結膜熱(プール熱)
症状
- のどの痛み(咽頭炎)
- 眼の充血(結膜炎)
- 39℃前後の発熱が続く(数日~1週間程度)
- 頭痛
- 食欲不振
- 涙が多くなる
- 眩しく感じる
原因
アデノウイルスに感染して引き起こる感染症です。プールの水を介して感染することが多いため、プール熱とも呼ばれています。感染してから5~7日間ほど潜伏期間があります。
治療法
咽頭結膜熱(プール熱)には、特別な治療法がないため、対症療法が中心となります。十分な睡眠をとり、安静にすることで、1~2週間ほどで症状が治まります。アデノウイルスに有効なお薬がないため、痛みや苦痛が強い場合や眠れない場合などは、症状に応じて薬剤を処方します。その場合、発熱に対しては解熱剤、眼の症状にはステロイド剤点眼薬、のどの痛みには鎮痛剤というように処方しています。
うつらない結膜炎
うつらない結膜炎として、細菌性結膜炎・アレルギー性結膜炎があります。結膜炎がどのタイプかを確認するためにも、気になる症状がある場合は眼科専門医を受診してください。
細菌性結膜炎
細菌感染が原因で引き起こる結膜炎です。最も一般的な結膜炎とされています。
症状
- 眼が充血する
- 膿をもった目やにが出る
- ネバネバした目やにが出る
- 流涙が起こる
原因
細菌感染が原因ですが、原因となる細菌には、ブドウ球菌・淋菌・肺炎球菌・インフルエンザ菌・緑膿菌など種類がさまざまです。
治療法
原因となる細菌の種類を特定してから、適応する薬剤によって治療を行います。さまざまな細菌に有効な抗生物質の点眼薬や軟膏があるので、それを用いることが多いです。抗生物質を用いてもなかなか改善が見られない場合は、真菌(カビ)など特殊な細菌が原因であることが多いとされています。この場合、菌の培養など精密に検査を行って原因菌を特定していきます。
アレルギー性結膜炎
花粉やほこりやダニなどのハウスダスト・ペットの毛などがアレルゲンとなって発症します。眼が痒い・充血する・異物感がある・まぶたが腫れるなどの症状が見られます。強い痒みのため眼を強く擦ってしまうと、炎症がさらに酷くなり症状が悪化するので注意が必要です。
結膜下出血
結膜の下に出血がある状態を結膜下出血と言います。結膜は白目部分にあたるため、見た目が目立ちますが、見た目以外での症状はなく、自然治癒することが多い疾患です。結膜下出血は、充血とは違って結膜に存在する血管が破れて、血液が結膜下に漏れている状態です。
症状
- 白目部分に出血斑がある
- 軽度の違和感
- 眼の痛み
原因
原因が特定できない場合が多く、原因が分からない結膜下出血を特発性結膜下出血と言います。とくに50歳以上に多く発症するのが特徴です。また、白血病・糖尿病・感染症などの症状のひとつとして現れる結膜下出血があります。
そのうち、結膜弛緩など眼症状が原因の場合と、眼球打撲などの外傷、アレルギー性結膜炎、細菌性・ウイルス性結膜炎が原因の場合、結膜炎の痒みによって強く擦る二次的に引き起こることがあります。
さらに、強くいきんだ時、重い物を持った時、激しく怒ったり踏ん張ったりした時は、眼球の血圧が上昇して結膜下出血が生じることがあります。
治療法
原因が特定できない特発性結膜下出血は、見た目以外の眼症状がないため、基本的になにもせずに経過観察を行っていきます。だいたい1~2週間ほどで自然治癒します。日常生活における制限もなく過ごしながら回復していきます。なんらかの原因が特定されている場合は、その原因の治療が必要や処置が必要です。
結膜弛緩症
結膜が弛緩した状態を結膜弛緩症と言います。白目部分の眼球壁を覆っている半透明の膜が緩んだ状態です。緩んだ結膜は、重力がかかって下まぶたに沿ってあり、まばたきや眼球運動に伴って弛緩した結膜が動き、ゴロゴロとした違和感やショボショボした不快感が生じます。
症状
- 眼に違和感や不快感がある
- ゴロゴロする
- ショボショボする
- 流涙がある
原因
明確な原因が分かっていませんが、加齢に伴って結膜弛緩の症状が多い傾向にあります。皮膚のしわとも考えられています。
治療法
適した点眼薬治療を処方し、治療を行います。点眼薬を用いても改善が見られない場合は手術治療を検討します。手術治療は、以下の3つの方法で緩んだ結膜を伸ばします。
- 下方の結膜を熱凝固して、角膜付近の結膜を伸ばす
- 下方の結膜を引っ張って、奥の方に縫いつける
- 緩んだ結膜を切除して縫い合わせる
翼状片
高齢の方に多く見られる疾患で、半透明の結膜が黒目部分の角膜にかかるように広がる病気を翼状片と言います。見た目の変化が明らかで、場合によって視力に異常を及ぼします。